ジョエル・シャピロ 《WALK》
博多駅前の西日本シティ銀行前にいるこの子。
大きいけど風景に溶け込みすぎて誰も関心を持っていません(涙)
これがパブリック・アートの宿命と言えば宿命かもしれませんが……。
人の形をした何の変哲もない彫刻に見えますが、
人によって見方が変わってくるのがおもしろい。
上を向いて歩いているようにも見えるし、
前のめりに走っているようにも見える。
わたしの大学のときの先輩が「就活中にリクルートスーツを着て、疲れながら博多のオフィス街を歩いていたときにこの作品が目に入って、なんとなくがんばろうと思った」という素敵なお話をしてくださいました。
力強い、どっしりとした作品だと思います。
ジョエル・シャピロの《WALK》という作品です。
ジョエル・シャピロはアメリカの彫刻家で、こういった角材を使った人物像をたくさん制作しています。
こういった作品は『ミニマル彫刻』と呼ばれています。
簡単に言ってしまえば、シンプルな形と色で表現している作品です。
パブリック・アートにはこういった作品が多いですね。
街に溶け込みやすく、奇抜なアート作品のように悪目立ちしないからでしょう。
でも、そのせいで街から忘れ去られていきがちな気もします。そのまま朽ち果てていく運命なのかな……と思うと悲しいです。それもそれでアートのひとつの姿かもしれませんが。
※この記事は以前『おたくま経済新聞』にも掲載させていただきました。
少し改訂しております。http://otakei.otakuma.net/archives/2012111901.html