吉水 浩 《瑞雲》
大きなうずまき
博多リバレインの建物のちょうど角っこに現れた大きな渦巻きです。
この写真では少しわかりにくいかもしれませんが、渦巻き模様の面が青色で、外側と内部の面が黄色になっています。青色というよりは紫色、黄色というより黄緑色っぽくなっていますので、青×黄の補色関係よりも柔らかめの印象を受けるかもしれません。
この大きな渦巻きはいったいなんなのか?
わたしには雲のようにも波のようにも見えます。
博多リバレインという場所は博多座・ホテルオークラ・福岡アジア美術館・イニミニマニモから成り立っており、インテリアや芸術、こだわりのブランドを取り扱っている施設です。
今回の渦巻きの作品は福岡アジア美術館のロゴマークとも似ています。
ロゴマークの成り立ちについてはホームページでは直接述べられてはいませんでしたが、基本理念の中に以下のような文章がありました。
福岡アジア美術館は、福岡と博多の「まち」のエネルギーがうずまく都心にあります。この「まち」に生きる人々が、アジア美術を通してアジアの「いま」へ最短距離でアクセスできる都心型の美術館です。また、アジアの美術作家たちも、「まち」特有の場所や表現方法を活かして、「まち」を生きる人々へとアプローチしていきます。
福岡アジア美術館 基本理念 http://faam.city.fukuoka.lg.jp/about/abt_index.html
福岡アジア美術館のロゴはエネルギーのうずまきを象徴しているのかもしれません。
そして今回の作品もアジア美術館のロゴを意識しているのか、逆にこの作品がアジア美術館のロゴになったのかもしれません。
青と黄
この作品で印象的なのはなんといっても青と黄のまぶしくなるようなコントラストです。補色の関係にあるこの二色のおかげでとても明るい印象を受けます。
そもそも青と黄は仏教で用いられる五色のなかの二色です。
次に示すタイトルと関係するので、次に書きます。
雲のモチーフ
作品のタイトルは《瑞雲》となっていました。
瑞雲とは、めでたいことの起こるきざしとして現れる雲のことを言います。
雲の模様は古くは奈良時代から用いられたと言われており、解説にも書かれているように吉祥のシンボルでもあります。
そして瑞雲は五色の雲とも呼ばれ、この五色の雲は仏教では聖衆来迎というおめでたい出来事の前触れでもあるわけです。
この作品ではその五色(青・黄・赤・白・黒)の中の二色である青と黄を塗ることによって、さらに縁起の良さを表現しています。
作者はただ補色の関係で目立つからといった理由だけではなく、こういった縁起の良い色合いを理解した上であえて使ったのかもしれません。
こういったモチーフこそがアジアとの玄関口にあたる博多にはふさわしいのでしょうね。
作者について
作者の吉水浩は1965年東京都で生まれました。
東京芸術大学大学院を修了後、アメリカ・イタリアに滞在し、国内外でパブリック・アートの制作に取り組んだそうです。
福岡では姪浜駅に彼の《Dragon King Rabbits》という作品もあります。
この作品でも《瑞雲》と似たうずまきの曲線や色鮮やかな青が使われています。
作者の吉水浩はこういった作風が好きなのかもしれません。
またいつかの機会にこの作品についても詳しく紹介できればいいなと思います。
そして現在の彼はエルド吉水という名前で漫画作品を発表して精力的に活動しているようです。
彼のYouTubeページがありましたので、それを見ると様子がよくわかります。
https://www.youtube.com/user/EVCARO1965/videos
かっこいいですよ!
参考文献