まちなかアート探索

まちのなかにある美術作品についてあれこれ書きます。主に福岡、ときどき他のまち。

鄭廣鎬(チョン・カンホー) 《千字橋》

博多リバレインを探索してみましたら、素敵な橋がありました!

リバレインのイニミニマニモとホテルオークラをつなぐ渡り廊下っぽい感じで。

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漢字がびっしりくり抜かれていて、漢字というより模様みたいで綺麗です。

「四文字熟語が並べてあるのかな?」というのはなんとなくわかりますね。

 

そして、この日はいい具合に日があたってくれていたおかげで、影もとっても綺麗。

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こういった光の効果もきっと考えられていたんでしょうね。

これが屋外にあるアートの醍醐味!

 

下から見るとこんな感じです。

横は四字熟語が整然と並んでいますが、下の部分は乱雑だけど統一感があります。

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下から見ると文字に動きが出ていて、まるでパズルのようです。

 

この作品は鄭廣鎬(チョン・カンホー)作の《千字橋》です。

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そうです、ここは博多リバレイン

山笠のときには大盛り上がりする場所なんです!

この橋が跳ね上がったところもぜひ見てみたいものです。

 

タイトルが《千字橋》となっているのは、『千字文』という漢文の長詩をもとにしているからでしょうね。

千字文』とは子どもに漢字を教えるときに使われた漢文らしいです。1000の異なった漢字が使われているとか。

 

説明文にもあるように、アジアが漢字の文化圏であることを意識して、この作品を博多というアジアとつながれる場所に置いたのでしょう。

 

文字のような、芸術ではなく伝達手段としての記号を芸術作品にしてしまうのがおもしろいなとわたしは思いました。

 

鄭廣鎬さんはソウル大学卒で、他には葉の葉脈を銅線で表現したような作品もたくさんあるみたいです。

わたしはその作品を直接みたことはありませんが、ネットで画像検索をしてみると出てくるので是非見てみてください。とっても綺麗です!

ジョエル・シャピロ 《WALK》

博多駅前の西日本シティ銀行前にいるこの子。

大きいけど風景に溶け込みすぎて誰も関心を持っていません(涙)

これがパブリック・アートの宿命と言えば宿命かもしれませんが……。

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人の形をした何の変哲もない彫刻に見えますが、

人によって見方が変わってくるのがおもしろい。

 

上を向いて歩いているようにも見えるし、

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前のめりに走っているようにも見える。

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わたしの大学のときの先輩が「就活中にリクルートスーツを着て、疲れながら博多のオフィス街を歩いていたときにこの作品が目に入って、なんとなくがんばろうと思った」という素敵なお話をしてくださいました。

力強い、どっしりとした作品だと思います。

 

ジョエル・シャピロの《WALK》という作品です。

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ジョエル・シャピロはアメリカの彫刻家で、こういった角材を使った人物像をたくさん制作しています。

 

こういった作品は『ミニマル彫刻』と呼ばれています。

簡単に言ってしまえば、シンプルな形と色で表現している作品です。

 

パブリック・アートにはこういった作品が多いですね。

街に溶け込みやすく、奇抜なアート作品のように悪目立ちしないからでしょう。

でも、そのせいで街から忘れ去られていきがちな気もします。そのまま朽ち果てていく運命なのかな……と思うと悲しいです。それもそれでアートのひとつの姿かもしれませんが。

 

※この記事は以前『おたくま経済新聞』にも掲載させていただきました。

少し改訂しております。http://otakei.otakuma.net/archives/2012111901.html

申明銀(シン・ミョンウン) 《Poodle》

福岡の百道浜にはおもしろい現代アートがたくさん!

その中のひとつでかわいくてインパクトのあるものを見つけました。

 

大きなピンク色のプードル!

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風船のようですが風船ではありません。

でもこの風船のような見た目がプードルのふわふわした毛並みを感じさせるような。

 

かわいいプードルのはずなのに、なぜか顔には目や口がなくて犬の愛くるしさはあまりなく、むしろ無機質な物体としての存在感がすごい。

 

遠目に見るとこんな感じ。

風船のような毛玉(?)があちこちに落ちている。

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こんな風に空間を広く使って表現できるのは、美術館ではできない、公共の空間だからこそ。

しかし、せっかく椅子になりそうなちょうどいい毛玉なのに、触ってはいけないとの注意書きがあってもったいないなと(笑)。

 

丸いおしりと丸いしっぽがかわいい。

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ここは百道浜にあるエアロギャラリー・デューンという場所で、このプードルだけではなくいくつかのパブリックアートが展示されています。

 

それにしてもこのプードル、オフィスビル群の中に突如現れるんでびっくり(笑)。

この周辺はカラフルなものがほぼないので、パッと華やかにするためにピンク色にしたのかも。

そして目や口を描かずに無機質な感じにしたのは、こういったオフィスの風景に溶けこませるためなのか、それともあえて余計なものを作りこまずデザインとしてのプードルを強調させたかったのか。

 

作家は申明銀(シン・ミョンウン)さん。1996年の作品。

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この作家さんは韓国出身で、「犬」をテーマにした作品を数多く作っているそうです。

ネットでいろいろ調べていたら、ピンクだけじゃなくいろんな色のプードルを作っていました。犬大好きなんでしょうか……?

 

こういったカラフルポップな作品を見ていると、わたしはなんとなく北欧デザインを連想します。

多くの人に受け入れられやすいかわいいもの。ポップアートやキッチュに近いものがあるのかな。

 

この作品がどういった経緯でここに置かれることになったのかはわかりませんが、1996年に小山登美夫ギャラリーで申明銀さんの展覧会が開催されていたようなので、もしかしたらそのときの作品がここに来たのかもしれません。

 

百道浜は最初に書いたようにパブリックアートが盛りだくさんなので、またちょっと調べたいと思います。

ブログについて

ブログタイトルの通り、まちのなかに見られる何気ないアートを少しずつこのブログにまとめていこうと思っています。

 

ブログを始めようと思ったのにはいくつか理由があります。

 

まず、例えばオブジェは公園にあったりまちの真ん中にあったりと、その場所のシンボルになっている場合も多いのに、あまりに注目されていないのでもったいないなと思ったからです。

 

何気なさ過ぎて気にも留めていない人が多いようですが、見れば見るほど味があっておもしろいです。

 

わたしは大学のとき美術史を専攻していたのもあって、まちのなかで変な(というと失礼かもしれませんが笑)作品を見かけると、おっと思います。

せっかくの気付きなのでいろんな人と共有したいです。

 

実は中世やルネサンス期の西洋美術にも関心があるのですが、写真をブログに載せてもいいのか?など制限があるので記事にしにくいっていうのもあります(笑)

 

そして、ちょっと前に一眼レフを買ったのに全然使っていないので、これを機にまた撮りたいと思っております。(OLYMPUS PEN E-PL2)

 

それでは、次回から記事を書きますので、今後ともよろしくお願いします。